ベルギーの七大至宝
⑦ 「キリスト降架」
ペーテル=パウル・リューベンス作/1611年/(アントウェルペン聖母大聖堂)
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《フランダース・バロックの至宝》

バロック絵画の代表者とされるリューベンスの最高傑作で
アントウェルペンの聖母大聖堂内に展示されています。
〔この作品についての詳しい解説は こちらをご覧下さい〕
【背景】
16世紀前半に始まった宗教改革は ヨーロッパを混乱に陥れました。
16世紀の後半には旧教と新教との対立は更に激しくなります。
聖像破壊運動によってカトリックは多くの宗教美術を失いました。
また 新教に移った信者の呼び戻しや 新たな信者獲得のために反宗教改革運動を起こします。
そのような カトリックが大量に美術品を必要としている時代に生まれたリューベンスは
カトリックからの多くの注文を受けます。
【作者】
ペーテル=パウル・リューベンスは1577年にドイツで生まれましたが
両親の出身地であるアントウェルペンにて創作活動をしました。
ルネッサンス様式の演劇的表現を更に発展させた 極めて劇的な表現は
「バロック様式」として一世を風靡し
「バロック絵画の代表者」とされました。
【キリスト降架】
この作品は リューベンスが35歳の1611年に
アントウェルペンの聖母大聖堂内の火縄銃ギルドの祭壇のために製作されたものです。
中央パネルの制作にほぼ一年の時間をかけていますので 全体として緻密な表現がなされています。
〔左翼面〕マリアのエリザベート訪問
〔中央画面〕キリストの降架
〔右翼面〕神殿奉献
〔左翼閉面〕クリストファー伝説
〔右翼閉面〕カンテラを灯す修道士
【様式】
リューベンスは「バロック絵画の代表者」とされましたが しかしこの作品では
劇的/大袈裟/はったりというバロックらしさが それほどには現れていません。
ですので「バロック芸術の傑作」というよりも
「画家リューベンスの傑作」と言うべき作品となっています。
〔この作品についての詳しい解説は こちらをご覧下さい〕