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ベルギーの大理石

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ベルギーの大理石~目次
【大理石とは】
【ヨーロッパでの産地】
【ベルギーの大理石の歴史】
【ベルギー産大理石の種類】
【ベルギー産大理石の特徴】
【ベルギー産大理石の特質】
【ベルギー産大理石の産地】
【採掘】
【生産量】
【研磨】
【閉山と再開】
【余談】

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【ベルギーの大理石】

ベルギーにおいて 多くの建築や美術品に大理石が使われています。
それらは どこから来たものなのでしょうか?

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【大理石とは】

石灰岩の一種で 熱と圧力によって変質し 硬度と密度が高くなった石。

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【ヨーロッパでの産地】

①イタリアのカララ Carara
②ギリシャのペンテリコンPentelikon
③ギリシャのパロスParos
④トルコのプロコンネスス Proconnesus
⑤ベルギー

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【ベルギーの大理石の歴史】

ベルギーで大理石が採掘されるようになったのはローマ時代まで遡ります。
黒い大理石はローマ時代から採掘され 輸出されてきました。
当時は 地上で大理石を切り出し 主にモザイク画を作るのに使っていました。
けれども その生産と使用が大幅に増加したのは中世になってからです。
建築や彫刻の分野で重要な役割を果たすようになりました。
多くの歴史的建造物や彫刻が 数世紀にわたるベルギー産大理石の職人技と耐久性を証明しています。
イタリア・ルネサンス以降 デ・メディチ家のおかげで 階段/市松模様の床/墓/暖炉/台座/彫刻などに使われる高級素材となりました。
17~18世紀にはその最盛期を迎え 赤大理石と黒大理石はバロック芸術において重宝されました。
19世紀には 市民階級にまでその需要は広まり ベルギーの大理石産出量は頂点を迎えます。
1850年から1915年の間に ベルギーでは175カ所で大理石が採掘されていました。
1897年にブリュッセルで万国博覧会が開催された頃 大理石産業は最盛期を迎えており サンクアントネール公園内の宮殿は ベルギーの大理石産業一色に染まりました。
しかし 第一次世界大戦後 世界恐慌により需要は落ち込み 採掘場は相次いで閉鎖されました。

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【ベルギー産大理石の種類】

ベルギー産の大理石は多種多様で それぞれ独自の色や模様を持つ幾つもの種類があります。
最も一般的な種類は ノワール・ベルジュ/ルージュ・ベルジュ/グリ・デ・アルデンヌ です。
☆ノワール・ベルジュNoir Belgeは 深い黒色と白い脈が特徴で そのエレガントな外観が高く評価されています。
☆ルージュ・ベルジュRouge Belgeは 白とグレーが混ざった赤い色合いが特徴。
☆グリ・デ・アルデンヌGris des Ardennesは 細かい葉脈のある微妙なグレーが特徴です。
このように さまざまな色があるため デザイナーや建築家は独創的なデザインを実現することができます。

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【ベルギー産大理石の特徴】

①緻密
黒大理石の中でも最も細かい粒を持っています。
専門家は 大理石に含まれる「ネズミのしっぽ」や「オルガン・パイプ・サンゴ」などの化石によって ベルギー産とそうでない大理石を見分けます。
しかし マジーMazyの黒大理石には化石の痕跡は見られず 合成品と見間違えるほど均一な色をしています。
そのために
②高価
何百種類もの大理石の中で ゴルツィンネGolzinneの黒大理石はその値段が極めて高い。

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【ベルギー産大理石の特質】

一般的にきめが細かく 独特の光沢があり 美的魅力に貢献しています。
さらに ベルギー産大理石は耐久性に優れ 磨耗や破損に強いため さまざまな用途に適しています。
また この石は硬度が高く 彫刻や研磨がしやすいため 彫刻家や職人に好まれています。
その中でも
☆黒大理石・・・'Noir de Golzinne' は世界で最も有名で重要な黒大理石です。
(タージマハールやヴェルサイユ宮殿で使われています。)
別名Noir de Mazy/Noir fin/ Noir Belge。(以前はマジーMazy村で採掘していたが 枯渇しました。)
しかし 地質学的には大理石(高温と高圧に晒されて変質した石)ではありません。
微結晶の方解石(CaCO3)の中に有機物が非常に均質に分散しているため 光を吸収する非常に濃い黒色をしています。

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【ベルギー産大理石の産地】

現在では ゴルツィンネGolzinne(l'Orneau渓谷(自然保護区域内)/Gembloux行政区/Namur)がベルギーで唯一の黒大理石採掘場。深さ66m。

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【採掘】

30%の急勾配の坑道を 徒歩かトラクターで入って行きます。
一番下の雨水がたまっている場所で採掘。昔はダイナマイトを使っていましたが 今ではダイヤモンドの刃が付いたチェーンソーで切っていきます。
掘り出しながら上から崩れて来ないように支柱を立てます。
最大で3mx1m/7トンの塊をクレーンで地上に吊り上げます。

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【生産量】

1立方メートルのブロックに大まかに切られ 毎月トラック2台分の大理石がここを出発します。
年間生産量は約250m3/800トン。この黒大理石の価格を押し上げているのは 生産量が控えめで維持費が高ためです。

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【研磨】

採掘された岩石は黒くありません。むしろはっきりしない灰色です。
大理石を完全に磨き上げることで 初めて求められる黒の色合いが出てきます。
手作業で研磨すると 最高の結果が得られます。
黒は驚くほど深みがあり まるで素材の中に潜っていけるような感覚になります。
手作業で1平方メートルを研磨するのに平均1時間かかります。
機械研磨の方がずっと早ですが 脈のある大理石の場合は 細かい研磨の跡が見えるので よりデリケートです。

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【閉山と再開】

ゴルツィンネ鉱山は1934年に閉山し 1970年まで再開されませんでした。
その再開はビクビクしながら行われました。その間に鉱山は水でいっぱいになってしまったからです。
汲み上げを始めたとき 村の人たちが第二次世界大戦中にドイツ兵の死体が鉱山に捨てられたと言いに来ました。
死体や銃弾の痕跡を期待したが・・・結局何も見つかりませんでした。

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【余談】

☆飲料水・・・坑道に溜まっている水は。ワロン水道局が汲み上げて 近隣の9000世帯に配給しています。

☆偽黒大理石・・・中国の業者が黒大理石を模倣し ベルギー市場でも黒大理石(もどき)を販売しました。
当初は「ニュー・ベルギー・ブラック」というブランド名で その「黒大理石」の値段がゴルツィンヌの大理石の3分の1であったため 成功を収めました。
しかし 中国産の高級大理石に自動車用の塗料を吹き付けて黒くしたものだったため 数年後には塗装が剥がれてしまい 販売店に苦情が殺到しました。

☆大理石博物館・・・地質学/古生物学/社会史/加工技術の歴史/大理石のかけら/採石場/工房などなどが展示されています。
博物館は資料センターでもあり 大理石の歴史に関する様々な情報を集めた図書館もあります。
博物館の様々な専門出版物も入手できます。
子供のためには遊び場もあります。
3ヶ国語のオーディオガイド付き見学。
Grand Rue 22, 6470 Rance  www.museedumarbre.com

☆ベルギー産大理石の標本・・・ブリュッセルの自然科学研究所に ベルギーで生産された全ての種類の大理石の標本が保管されています。
marmergalerij van de Belgische Geologische Dienst (Koninklijk Belgisch Instituut voor Natuurwetenschappen)

☆使われている場所・・・聖バーヴォ大聖堂の礼拝室(ゲント)/ラーケン王宮植物園/王立図書館(ブリュッセル)/
カタール・ペトロリアム・タワーの柱/ウェストミンスター寺院(ロンドン)/ノートルダム大聖堂(パリ)/
ルーヴル美術館(パリ)/ヴェルサイユ宮殿/ヴォー・ル・ヴィコント城()/トプカプ宮殿(イースタンブール)/



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