世界で最も美しいゴチック様式の教会の塔
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(左から)【フライブルクの聖母大聖堂の塔】/【ストラスブールの聖母大聖堂の塔】/【ブルゴスの聖母大聖堂の塔】/【アントウェルペンの聖母大聖堂の塔】
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《目次》 |
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① 世界で最も美しいゴチック様式の教会(の塔) |
②【世界で最も美しいゴチック様式の教会の塔】四選 |
③【世界で最も高い教会の塔】三選 |
④【世界で最も高い煉瓦造りの教会の塔】三選 |
⑤【世界で最も美しいゴチック様式の(教会以外の)塔】 |
⑥【世界で最も美しい(ネオも含めた)ゴチック様式の塔】 |
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ゴチック様式は 12世紀半ばから16世紀半ばまでの約四百年間
アルプス以北のヨーロッパにおいて とても大きな影響力を持った芸術様式です。
特に 商業活動が盛んになり 豊かになった都市においては
多くの(立派に見せたい)建物は ゴチック様式によって建てられました。
その代表が 教会建築です。
ヨーロッパは 紀元千年頃 その全域がキリスト教化しました。
多くの信者を収容するために 大きな建物が必要となりました。
ですので 石造りによる大規模な教会建築が生まれました。
これが ロマネスク様式の誕生となります。
しかし およそ百年続いたこのロマネスク様式は
その後12世紀半ばに北フランスで発明されたゴチック様式に取って代わられます。
そして ルネッサンス様式が普及するまでの四百年間がゴチックの時代となります。
ゴチック様式が始まった時代に
アルプス以北のヨーロッパにおいて 特に商業活動が盛んだったのは
① シュケルデ/エスコー川流域(現在のベルギー西部)
② セーヌ川流域(現在の北西フランス)
③ ライン川流域(現在のドイツとフランスとの国境周辺)
④ ムーズ/マース川流域(現在の北東フランスとベルギー東部)
でした。
これらの地域では どの都市も競って
「ヨーロッパで最も素晴しい教会建築」を建てようとしました。
「素晴しい」とは 「大きさ/高さ」と「美しさ」とです。
大きく立派な美しい建物を建てるには まずは材料が必要です。
石材が(容易に)入手できることが その最初の条件です。
特に 教会建築は「砂岩」で建てるのが一般的になりましたので
この砂岩が入手しやすいかどうかが重要になりました。
そして 建築資金を調達できるかどうか すなわち
その都市がどれほどに繁栄し そこに住む商人や職人たちにどれ程の財力があるか です。
そして 素晴しいものを作り出す職人たちを集める魅力が その都市にあるかどうかです。
ゴチック様式は北フランスで始まり まずは
ルーアン/シャルトル/パリ/ランスなどに
ゴチック様式の立派な教会建築が建てられました。
しかし 建築技術は時代と共に進化していきます。
ですから 時代が後になるほどに
「大きく/高く」「立派に」「美しく」建てられるようになります。
北フランスから 北./東/南の地域へと波及していくにつれて
より大きく より高く より美しく より立派に(見えるように)建てられました。
ドイツではフライブルク フランスではストラスブール
ベルギーではアントウェルペンがその代表例です。
先ずは 正面から「立派に」見えるように
ロマネスク様式では塔は建物の真中にあったのを
ゴチック様式では西側正面に移しました。
ゴチック様式は 教会建築を「天国を指し示す矢印」として建てましたので
「尖らせる」=尖塔を建てるようになり かつ
「いかに尖らせて高くするか」を競うようになりました。
しかし 石で尖塔(すなわち 斜め)を造るのは難しかったので
ゴチックの尖塔は時代が古いほど 尖っておらず
逆に時代が後になるほど 建築技術が向上して
石でも(装飾性豊かな)尖塔を造れるようになりました。
(実際には 傾斜の尖塔よりも 段積みの尖塔の方が多く見受けられます。)
また 石で尖塔部分を造るのあきらめて 木で尖塔を造り
それを石造の(あるいは煉瓦造りの)建物に載せました。
石が採れない地域(主に北海に面した北西ヨーロッパ)では
煉瓦で建物を建てました。
これは「煉瓦ゴチック様式」と呼ばれています。
しかし 煉瓦では 石ほどには大きく/高く建てられません。
色も 煉瓦の色です。(例外的に 外壁を白い塗料で塗装している場合もあります。)
煉瓦では 装飾(=彫刻)は出来ません。(その部分は石を使わざるを得ません。)
ですから 加工しやすい(=彫刻にしやすい)砂岩が入手しやすいかどうかが
立派な建物を建てられるかどうかの重要な条件となりました。
あるいは 石が入手しにくい地域では
ゴチック様式の特色のひとつである「高い尖塔」を
煉瓦や石造りの建物自体を高くするのでは無く
木造で(空洞の)尖塔部分を高く
(場合によっては 塔の部分の高さと尖塔部分とが同じ高さ
=高さの半分は空洞の尖塔に)することによって
高く立派に見えるようにしました。
(リューベックの大聖堂など)
中世のゴチック様式の時代に完成された建物もありますが
その時代には完成しなかったり その後壊れたりして
後の時代にゴチック様式のように見えるように完成した
(あるいは修復/再建された)教会建築もあります。
それらは「ゴチックもどき」であり「ネオ・ゴチック様式」と呼ばれています。
(ドイツのケルンやウルムの大聖堂など。)
ここでは
各地に「ヨーロッパで最も素晴しいゴチック様式の教会建築」として建てられ
あるいは (地元では)そう言われていて
その土地の自慢となっている教会建築を紹介します。
しかし 教会建築の西側の塔は 西側正面(=入り口)と一体となっています。
ですから 西側正面全体の美しさ あるいはバランスというのも重要であって
塔だけの美しさ/美しさでな無いとも言えます。
また 多くの教会建築は 建設に数百年もかかっていますので
その間に建築家が変わり 流行(様式)が変わり 設計が変更されと
段々と変わっていってしまう それが
全体としての不調和を生み出すことにもなりかねません。
また 視点によっても印象はかなり違ってきます。
遠くから見た時の印象に対して
塔をすぐ近くからグッと見上げるのとでは見え方が全く違いますので
どの角度から見て素晴しい/美しいと思えるのかどうかです。
しかし いずれにしても それぞれの教会のある土地では
「ヨーロッパで一番素晴しい教会建築」を目指して建て
そして そうであると自負しているのです。
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【世界で最も美しいゴチック様式の教会の塔】四選
(以下は完成した年代順であり 美しさの順ではありません)②フライブルクの聖母大聖堂(1513年完成/塔は1330年頃完成) |
①ストラスブールの聖母大聖堂(1439年完成) |
③ブルゴスの聖母大聖堂(1458年完成) |
④アントウェルペンの聖母大聖堂(1521年完成/塔は1518年完成) |
左から フライブルクの大聖堂の塔/ストラスブールの大聖堂の塔/ブルゴスの大聖堂の塔/アントウェルペンの大聖堂の塔
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①フライブルクの聖母大聖堂(1513年完成/塔は1330年頃完成)
Freiburg / Munster
ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州のフライブルクにあるミュンスター(聖母大聖堂)の塔は
1330年頃に高さ116mで完成したゴチック様式による塔です。
(完成した当時は地区教会で 1827年に大聖堂となりました。)
近くを流れるライン川で採れる赤砂岩が使われています。
この地方では 黒い森で採れる材木や
ライン川で採れ運ばれる石を入手するのが容易でした。
(ストラスブールとフライブルクとは 85kmほどしか離れていない
どちらもライン川から近い場所です。)
ミュンスターは 1200年頃にロマネスク様式によって建築が始められました。
(残っているのは 鶏が付いている交差部と 二本の八角形の塔。)
その後 西の方へと建築が進められるにつれて ゴチック様式が入ってきました。
西側の塔と正面が1330年頃に装飾豊かに完成します。
最後に聖歌隊席が1513年に完成したことにより 建築は終了しました。
この塔は ドイツ国内で数少ない
ほぼ完全な形で残されている中世に完成した塔の一つです。
(第二次世界大戦での空襲で街の多くの建物が崩壊しましたが この塔は無事でした。)
ヨーロッパのゴチック様式の塔として 初めて
透かし彫りの石を積み上げた構造が使われています。
この 透かし彫りの石を斜めに塔頂まで積み上げた塔は
後の時代にゴチック様式あるいはネオ・ゴチック様式によって建てられた塔
(バーゼル/ウルム/レーゲンスブルク/など)の模範となっています。
塔の下部(入り口上部)は 13世紀末に付けられた
418体の聖人/人物像で飾られています。
この教会を設計したケルンのヨハネ(1270?~1331)は 建築家の家系出身で
下記ストラスブールやケルンの大聖堂の建築も手がけています。
【フライブルクの聖母大聖堂】
②ストラスブールの聖母大聖堂(1439年完成)
Strasbourg / Munster
フランスのアルザス地方の
(旧市街が世界遺産に登録されている)ストラスブールの中心に位置する
聖母大聖堂の塔は 1439年に142mの高さに完成しました。
この大聖堂は ローマ時代の神殿があった場所に
1015年に最初の教会がロマネスク様式で建設され始めました。
しかし火災により建物のほとんどが焼失してしまい
その改修がされる12世紀末には ゴシック建築様式がアルザスに到達したため
アルザスで最初のゴチック様式の教会建築として
シャルトルのゴシック様式の大聖堂をすでに手掛けていた職人と石工によって建てられました。
建物には ヴォージュの山々から運ばれた赤い砂石が使われています。
その後1647年から1874年まで その142mの塔は世界で最も高い建物であり続けました。
また 南塔を建てなかったので 左右対称になっていないことも特徴です。
塔頂まで斜めに積むのでは無く 八角形を段々で積み重ねています。
塔の下 建物正面の入り口には
右の扉(最も豪華な装飾が施された面)に賢者と愚かなおとめに囲まれた誘惑者が
左の扉口には悪徳と美徳の戦いが
その二つの扉の間にある中央の門には キリストの受難と復活が描かれています。
スタンダール
「ストラスブールの丸天井は 私が今まで見た中で
最も印象的なモニュメントの一つである。」
ゲーテ
「大聖堂のファサードを見れば見るほど その高さが
美しさにつながっているという第一印象を確信する。」
ヴィクトル・ユーゴー
「この大聖堂の真の勝利は尖塔である。
その冠と十字架は まさに石の王冠で 巨大かつ繊細な驚異である。」
【ストラスブールの聖母大聖堂】
③ブルゴスの聖母大聖堂(1458年完成)
Santa Iglesia Catedral Basilica Metropolitana de Santa Maria de Burgos
スペイン北部カスティーリャ地方の都市ブルゴスの歴史的中心部に位置する聖母大聖堂は
1221年に建築が始められ 1238年には西側正面が完成していました。
この西側正面は フランスのゴチック様式 特にランスの大聖堂から大きな影響を受けたものです。
二百年後の15世紀に西側正面と塔が増改築されました。
1458年に高さ88mで完成した塔は ドイツのケルンから招聘された建築家ヨハンの手によるもので
ケルンの大聖堂の(現在のネオ・ゴチック様式の塔ではなく
三百年間建築が中断されていた本来の中世の)塔の設計図を元にしたものです。
八角形の土台の上にピラミッド型の(=段積みでは無い傾斜の)尖塔を立てた
その繊細なフレット細工(=ギターなど擦弦楽器の指板に付いている隆起のような細工)が特徴となっています。
また 双塔で(かつ左右対称に)完成した中世のゴチック様式の教会建築の代表例ともなっています。
(この大聖堂は 1994年に世界遺産に登録されました。)
【ブルゴスの聖母大聖堂】
④アントウェルペンの聖母大聖堂(1518年完成)
Antwerpen / Onze-Lieve-Vrouwe Kathedraal
ベルギーのフランダース州のアントウェルペン(アントワープ)にある聖母大聖堂の北塔は
1518年に高さ123mで完成した ブラバント・ゴチック様式による塔です。
(ただし 完成当時は大聖堂では無く 地区教会でした。)
完成当時から今日まで ベルギー国内のみならず ベネルクス三国で最も高い塔となっています。
ベルギーのトルネで採れた青白砂岩(やや青味がかった白砂岩)が使われています。
アントウェルペンとトルネとは シュケルデ川で繋がっていましたので
砂岩を入手することが困難ではありませんでした。
(とは言っても重い石を船に載せて100km運ぶのは大変だったのですが。)
本来は 二本の塔を左右対称に建てる予定でしたが 北塔を見張り塔として使うことにしたので
南塔はその邪魔に成らないように 計画を変更し未完成となっています。
八角形/六角形/四角形を積み上げることによって
尖塔の頂点まで 段々と細くしています。
上記三つと比べると 白砂岩を使っていてきれいに見えることと
ゴツゴツした感じが無く 洗練された形となっており
透かし彫りによる軽やかさが表現されています。
ドイツの哲学者ヘーゲルが「世界で最も美しいゴチック建築」と賞賛しました。
(北塔=正面左側の塔は「ベルギーと北フランスの鐘楼群」の一つとして 世界遺産に登録されています。)
【アントウェルペンの聖母大聖堂】
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おまけで 「美しさ」では無く 「高さ」で比べてみます。
ここでは「中世」の「ゴチック様式」だけでは無く
近代に入ってからの「ネオ・ゴチック様式」や
あるいは他の様式も含まれています。
しかし 教会の塔の建て方は二種類に大別できます。
そもそも「建物」とは その中に人間が入って何かに利用できるものです。
(棒や筒を高く立てても それを建物とは言いません。)
しかし しばしば教会の塔の尖塔部分は単なる「飾り」であって
その中を何かに利用できるわけではありません。
それでもそれを「建物」とするのかどうか です。
尖塔部分を 明かりを灯す/身張り番が立つ/時計を付ける/鐘を吊り下げる などに使ったのか
それとも 全くの飾りとして立てたのか の二種類です。
(後者は 特に北ドイツで多く建てられました。
木造で高く尖塔を建て その外側を銅板で覆っています。
塔によっては 全体の高さの半分は 飾りとしての尖塔です。)
つまり この二種類の分け方というのは
「建物自体を高く建てたかった」のか
「細長い尖塔を載せることで 高く見えるようにしたかった」のかの違いでもあります。
それは どちらの方が本当に「神に心を向ける」ゴチックの本来の目的の表れなのか
という違いでもあります。
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【世界で最も高い教会の塔】(過去の世界一)
(いずれも 世界で最も高い教会の塔であると共に 完成当時は世界で最も高い建築でした)
1433~1439 | ウィーンの聖シュテファン大聖堂 | 136.44m |
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1439~1549 | ストラスブールの聖母大聖堂 | 142m |
1311~1549 | リンカーンの聖処女マリア大聖堂 | (約160m) 文献のみで高さと完成年は不確実 |
1549~1647 | シュトラールズントの聖マリア教会 | 151m (落雷で崩壊) |
1647~1874 | ストラスブールの聖母大聖堂 | 142m |
1874~1877 | ハンブルクの聖ニコラース教会 | 147.88m |
1877~1880 | ルーアンの聖母大聖堂 | 151m |
1880~1884 | ケルンの聖ペテロ大聖堂 | 157.38m |
1884~ | ウルムの聖母大聖堂 | 161.53m |
20?? ~ | マドリッドの聖家族(サグラダ・ファミリア)教会 | 172.50m |
〔画像にカーソルを乗せると名前が出てきます〕
(左から)ウィーンの聖シュテファン大聖堂/ストラスブールの聖母大聖堂/リンカーンの聖処女マリア大聖堂/シュトラールズントの聖マリア教会
ハンブルクの聖ニコライ教会/ルーアンの聖母大聖堂/ケルンの聖ペテロ大聖堂/ウルムの聖母大聖堂/マドリッドの聖家族サグラダ・ファミリア教会】
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【世界で最も高い教会の塔】三選(現在の高さの順)
①ウルムの聖母大聖堂(164m)Ulmer Dom
ドイツのウルムUlmの聖母大聖堂の塔は
1884年に高さ164mで完成した
ネオ・ゴチック様式の塔です。
【ウルムの大聖堂】
②ケルンの聖ペテロ大聖堂(157.38m)Kolner Dom
ドイツのケルンKolnにある聖ペテロ大聖堂の双塔は
1880年に高さ157.38mで完成した
ネオ・ゴチック様式の塔です。(完成当時 世界一)
【ケルンの大聖堂】
③ルーアンの聖母大聖堂(151m)
フランスのルーアンRouenにある聖母大聖堂の塔は
1877年に高さ151mで完成した
ネオ・ゴチック様式の塔です。(完成当時 世界一)
【ルーアンの大聖堂 正面】
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【世界で最も高い煉瓦造りの教会の塔】三選
☆シュトラールズントの聖マリア教会(151m)
ドイツのシュトラールズントStralsundの聖マリア教会の塔が
これまでに建てられた世界で最も高い煉瓦造りの塔です。
(しかし 尖塔部分は煉瓦造りではありません。木造に銅板貼りです。)
1495年に嵐で崩壊した塔がその後再建され 高さ151mで完成しました(完成年不詳)。
しかし 1647年に落雷により崩壊したため 現存していません。
(1549年から1647年まで 世界で最も高い建築でした。)
【シュトラールズントの聖マリア教会(1647年の絵)】
①ランツフットの聖マルティン教会(130.08m)
ドイツのバイエルンのランツフットLandshutにある聖マルティン教会の塔は
1500年頃に世界一高い煉瓦造りの塔として完成しました。
【ランツフットの聖マルティン教会】
②ブリュッゲの聖母教会(115.60m)
ベルギーのブリュッゲBrugge(ブルージュ)にある聖母教会の塔は
1475年頃に高さ115mで世界一高い煉瓦造りの塔として完成しました。
(これまで122mとされてきましたが 近年の再測量で115mに修正されました。)
【ブリュッゲの聖母教会】
③リューベックの大聖堂(114.70m)
ドイツのリューベックの大聖堂は
バルト海沿岸で最初の大規模な煉瓦造りの教会建築として
1173年から1247年にかけて ロマネスク様式で建てられました。
塔は 北塔が1134年に 南塔が1160年に105mで完成しました。
その後1513年に上部が増築され
北塔は高さ114.70m 南塔は114.42mとなりました。
(しかし 尖塔部分は煉瓦造りではありません。木造に銅板貼りです。)
【リューベックの大聖堂】
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【世界で最も美しいゴチック様式の(教会以外の)塔】
ゴチック様式で立派に建てられたのは教会建築だけではありません。
市庁舎やギルドハウスや鐘楼が建てられました。
①ブリュッセルの市庁舎の塔
ベルギーのブリュッセルの市庁舎の塔は
1449年に高さ96mで完成した
ブラバント・ゴチック様式による塔です。
鐘楼として 見張りと警鐘の機能を有していました。
(現在は「ベルギーと北フランスの鐘楼群」の一つとして世界遺産に登録されています。)
下記 ウィーンの市庁舎の塔や ミュンヒェンの市庁舎の塔は
これを参考にしたものとされています。
塔頂には(教会では無いので十字架では無く)
市の守護聖人である聖ミカエルの像が立っています。
【ブリュッセル市庁舎】
②ルーヴェンの市庁舎
ベルギーの(ブリュッセルと同じブラバント公爵領の)ルーヴェンの市庁舎は
1439年から1469年にかけて 二期に分けて建てられた ブラバント・ゴチック様式の建物です。
そもそもは もっと大きな鐘楼を付けるはずでしたが 計画が変更され左右対称形に完成しました。
【ルーヴェンの市庁舎】
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【世界で最も美しいゴチック様式の(教会の)塔】
ここでは ゴチック以後の時代のネオ・ゴチック様式も含めた
これまでに建てられた様々な時代の(ここまでに挙げた以外の)塔の画像を
完成した年代順に並べています。
【ソールズベリー(イギリス)の聖マリア大聖堂】123m/14世紀初め/ゴチック様式
【リューベック(ドイツ)の聖マリア教会】124.95m+124.75m/1350年/ゴチック様式
【ボルドー(フランス)の聖アンデレ大聖堂】81m/1350/1500/1665年/ゴチック様式
【シャルトル(フランス)の聖母大聖堂】北塔115m/1513年 南塔107m/1170年/ゴチック様式
【プラハ(チェコ)の聖ヴィトゥス大聖堂】102.80m/ネオ・ゴチック+ルネッサンス+バロック
【ウィーン(オーストリア)のフォーティヴ教会】99m/1868年/ネオ・ゴチック様式
【ボルドー(フランス)の聖ミカエル巡礼教会】114.60m/1869年/ネオ・ゴチック様式
【レーゲンスブルク(ドイツ)の聖ペテロ大聖堂】104.60m/1872年/ネオ・ゴチック様式
【ウィーン(オーストリア)の市庁舎】98m/1883年/ネオ・ゴチック様式
【ノヴァラ(イタリア)の聖ガウデンティウス巡礼教会】121m/1887年
【ミュンヒェン(ドイツ)の新市庁舎】85m/1905年/ネオ・ゴチック様式
【ベルン(スイス)の聖ヴィンセンティウス大聖堂】100.60m/1893年/ネオ・ゴチック様式
【ザグレブ(クロアチア)の聖母被昇天大聖堂】108.40m/1902年/ネオ・ゴチック様式
【リンツ(オーストリア)の新大聖堂】134.80m/1924年/ネオ・ゴチック様式
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(2024/08/27)