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宇宙に空籤( からくじ無し

《幸也の世界へようこそ》《幸也の言葉》《公演でのお話から》 → 《宇宙に空籤無し》


(初めに楽器の説明をしていますが ここでは省略します)

この三十六簧活斗鍵打笙という楽器を使って
私は 自分で作った音楽を自分で演奏していますが
すでにお聴きになって
私の音楽と 他の音楽との大きな違いを感じ取られた方もいらっしゃるかと思います。
大抵のメロディーがはっきりしている音楽は
そのメロディーが線として聞こえるのに対して
私の音楽は メロディーラインがはっきりしていながらも
それが線としてではなくて 全体的な響きとして
身体全体を包み込むように感じられるのではないでしょうか。
実はこれが 私の目指しているものであり
それは
私たち誰もが
「宇宙」の中に存在し
「宇宙」に育まれ生かされている
ということを音楽で表現し 皆さんに感じ取って頂けたら
ということなのです。

例えば
私たちは 空気の中に存在して生きていますが
普段はそれを意識せず あるいは忘れています。
しかし 空気は 私たちが意識しようとしまいと
私たちにとっては必要不可欠なものです。
それと同じように
私たちは
「宇宙」の中に存在していて
まさに その「宇宙」が
私たちが存在し生きていくに必要な全てのものを与えてくれているのですが
私たちはそれを意識せずに生きている あるいは忘れてしまっているのではないでしょうか。
私の音楽が その「宇宙の中の自分」というものを
再認識して頂く一助となれば ということなのです。

もう 十年以上前になりますが
名古屋に来て
娘と東山動物園に行ったことがあります。
そのとき 園内でくじ引きがありました。
いろいろな大きさの動物のぬいぐるみがあって その内の一つが当たるものなのですが
「からくじ無し」と看板が出ていました。
娘はまだ小さくてその看板は読めなかったのですが
娘がやりたいと言うのでやってみて
丁度 大き過ぎもせず 小さ過ぎもせず 手ごろな大きさのぬいぐるみが当たったので
娘はとても喜びました。
私は この情景を思い出すと
これがまさに 私たちの宇宙の中でのあり方を象徴しているのではないかと思うのです。
「宇宙」というものは 私たちに丁度良いものを用意してくれているのです。
私たちにできる選択は それを私たちが受け取るか 受け取らないか ということです。
そして 受け取ったものを 素直に喜べるかどうかが大事なのではないかと思います。

私の作った音楽
(実際には「私」が作っているのではなく 宇宙が用意してくれたものを
「私」が受け取っているのですが)
私の演奏を聴いて
「宇宙には空籤(からくじ)は無い」ということを あるいは
「宇宙の中の自分」というものを
体感する切っ掛けとして頂ければ
それに勝る喜びはありません。


(この文章は 2008年11月14日に愛知県名古屋市の想念寺で行われた公演での話をまとめ直したものです。)



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