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コントラバスの演奏法


 

5)音楽を奏でる(独奏)
コントラバスの独奏をする場合には 幾つかの問題点があります。
先ずは 楽器として大きく そのために扱いが困難で かつ楽器としての感度が低い(=鈍感である)ということです。
そして コントラバスのために作曲された曲は 音楽的に優れているわけでは無いということです。 音楽的に弾く価値(=聴いてもらう価値)が無い曲を それでもあえて「コントラバスのための曲だから」と演奏するのは 聴衆に対して気の毒です。
そうすると 他の楽器のために作られた曲を編曲して演奏することになります。 その場合 他の楽器よりも鈍感な楽器であるということを聴いてもらうことになります。
それを解決するにはどうしたら良いでしょうか?
先ずは 曲を選ぶということです。
もう一つは 表現力を最大限に発揮するということです。
「コントラバスはこういう楽器」という思い込みを捨てましょう。
「コントラバスを演奏する」のでは無く 音楽を奏でましょう。

しかし(相反すようですが)編曲ものを演奏する時に大事なのは 「コントラバスらしさ」をどの位出すか(あるいは出せるか)です。 本来は他の楽器のための曲を 無理してコントラバスで演奏しています というのを聴衆に聴いてもらいたいのでしょうか?  つまり 敢えてコントラバスで演奏するからには (原曲が何の楽器のための曲であっても)そのコントラバスの特徴を発揮した演奏を聴いてもらいましょう。 高いポジションばかりを使ってキーキーと弾いて 聴衆に「他の楽器で演奏した方がいいんじゃない?」と思わせるような演奏は避けたいものです。
  
練習のコツは「コツを掴む」ことです。つまり 練習とは「コツを掴む」ことです。 幾度も繰り返すことは「慣れる」のには役立ちますが しかし慣れることよりも大事なのは「コツを掴む」ことなのです。 なぜならば 「慣れ」は応用がききませんが 「コツを掴む」と応用がきくからです。 聴衆に聴いてもらいたいのは「慣れ」ではありません。 「掴んだコツ」を使って表現力を最大限に発揮した演奏なのです。

楽曲の練習は 先ずはその曲をどう響かせたいのかを決めます。 そして そう響かせるにはどう演奏するのかを決めます。これが完成形です。 この完成形を実現するために練習します。完成形が実現するまで練習します。 (出来ないことを出来るようにするための練習なのですから。)
その完成形を実現するためには「えっ こんなに大袈裟な表現をするの?」と思うこともあるかもしれません。 しかし 鈍感なコントラバスで音楽を聴いてもらうためには それだけ大きな表情の付け方が必要なのです。
(練習のやり方は「楽器の演奏法」を参照してください。

コントラバスの表現の幅の狭さは 音量の幅の狭さにも表われます。 音量(音の強弱)の変化よりも 表情の付け方と 発音(アタック)の変化 そして伴奏の音量の変化で調整すると良いでしょう。 また 弓は駒の近くで弦に当てた方が倍音豊かで「通る」音になります。

低い音域での速い音の動きは 高い音域での動きよりもホールの中ではっきりと聴き取りにくくなります。 ですので テンポも遅めにすることになります。
また 音高の動きも低音の方がはっきりと聞き取りにくくなりますので レガートでも左手の指で弦を押さえる時に 押さえるというよりも叩く感じにする 指を弦から離す時には 指で弦を撥くようにすることで発音を明瞭にすることも助けになります。

これらもまた「ホールの中での響き」が完成形です。 聴衆が聴くのは「あなたがどう弾くか」では無く 音楽そのものなのです。 

コントラバスのために作曲された しかし 音楽的に素晴しいというわけでは無い曲を演奏する時にはどうしたら良いでしょうか?  演奏の基本は「作曲者が望んだとおりに」です。 しかし この場合には「作曲者が望んだよりも素晴しく」を目指すべきです。



【目次】

0)初めに

 

1)楽器の構え方

〔立奏と座奏〕

〔三点支持〕

2)右手〜弓の持ち方

 

〔ドイツ式とフランス式〕

〔ドイツ式弓の持ち方〕

〔コツ〕

〔練習〕

〔上下動の練習〕

〔左右動の練習〕

〔弓を弦に乗せる練習〕

〔腕の重みを乗せる練習〕

〔弓が弦に当たる位置〕

〔音の初め〕〔音の終わり〕

〔表情〕

3)左手〜弦の押さえ方

 

〔弦の押さえ方〕

〔ポジションの移動〕

〔ヴィブラートのかけ方〕

4)ピッツィカート

 

5)音楽を奏でる

〔独奏〕

6)合奏

 

〔合奏の基礎〕

〔発音のタイミング〕

〔全体を聴く〕

〔オーケストラの首席奏者〕



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